彼にとって、七夕は大事な思い出のひとつ。
アオイ亭の連中と、適当な知識で七夕を祝ったため、イマイチ本物の七夕がわかりません。
七夕の日付も、いまいちわからない。
確か、旧暦で祝ったから。
ので、彼にとって願い事は星にするんじゃなく笹にするものが常識なのです。
さらさらと揺れる笹の音は、否応にも記憶を呼び起こすから性質が悪い。
それが、胸を暖める幸福な、けれども少し痛みを孕んだ記憶ならば尚更だ。
さらさら、さらさら。
風も無いのに、笹が揺れる。
目を、閉じた。
七夕をしようと言い出したのは、誰だったか。
暑い夏の日。
8月のことだったと、思う。
数日前に起こった、戦闘。
身体をのっとられていたとはいえ、仲間同士の争いという最悪のそれに沈みがちな酒場を盛り上げるように‥‥
「あのね!七夕って、お願い事が叶うんだって!」
そうだ、ユーリだ。
ユーリウス、俺の大事な仲間。
大きな笹を担いで、ドアを開けた。
薄紫色の短い髪を揺らして、ずり下がり気味の銀縁眼鏡を直すこともなく、少女が言う。
「タンザク?っていうのに、お願い事書いてね。笹に吊るすと、お願い事が叶うんだって!!!」
慣れない浴衣を着て、笑いあった。
はやく皆の怪我が治りますように。
アオイ亭の皆と、ずっとずっと一緒にいられますように。
本命のお願い。
それを隠すような照れ隠しみたいな、お願い事もいっぱいした。
短冊を何枚も書いて、その重みで笹が撓る。
パリスも、魔王も、シュウも‥‥
皆で笑った。
「笹に、お願い事かぁ」
願い事って、これなにに祈るの?
えー?
笹に吊るすんだから、きっと笹に祈るんだよ!
記憶の中で、笑い声が弾ける。
乾いた目玉からは、水なんかでてこないけれど。
胸がじんわりと熱くて苦しくて、きつくきつく眼を閉じた。
笹に、願いを。
遥か彼方のあの遠い星じゃなく、この胸の奥深くで揺れる笹の葉に願いを。
どうか、彼らが幸せにいてくれますように。
雨の日の、密かな習慣。
君の姿を、雨に探す‥‥
せめて、一人ではないと自分が思いたいが為に。
雨の夜は、一人森を歩く。
「あの日」からできた、俺の密かな‥‥
「降ってきたな」
小さく呟いて、窓の外。
雨が降り出した夜の空を見る。
ツクリモノの空も、ホンモノと変わらず時折こうして泣きだすらしい。
時折、ここが塔の中だということを忘れそうになるくらいの精巧さだ。
髪を解いて、帽子を深く被る。
一種の、変装みたいなもの。
‥‥‥カエル帽ってとこが、あんまり決まらなくて、それがますます俺らしくて。
苦笑しながらコート代わりにローブを拾い上げた。
「ん?」
その裾を、桃色の熊がぎゅっと掴む。
「チェリー‥‥」
じっと俺を見上げるぬいぐるみの、真っ黒な目。
俺の為に作られたぬいぐるみは、付き合いが長い分俺すらわかってない俺の事を熟知している。
だから、だろうか。
ぎゅっと裾を掴んだまま、首を傾げた。
行くの?
そう、問いかけられている。
「‥‥‥‥‥‥」
雨は嫌い。
特に、夜に降る雨は‥‥
「何処かで、誰かが泣いてる気がするんだ」
小さく、呟く。
だから、雨は嫌い。
手の届かない所で、誰かが哀しみにくれている気がするから。
雨は嫌い。
それでも、今までこうして散歩と称して出歩いてたのは‥‥
「ごめん、なんて言うからさ」
そう囁いて、窓から身を滑らした。
幾人かの友人と、一言二言、言葉を交わして再び歩く。
くるりとレースの傘をまわし、ぼんやりといつもの散歩道を歩いた。
「よく考えたら、アイツ今って幸せ絶頂期じゃん」
だから、泣くわけがないのだ。
けれども、歩みを進めていく。
そもそも、ちゃんと探しているわけではないけれど。
ただ、あの日から。
もしかしたら雨の日は、何処かで泣いているのではないかと。
そう思ったら、なんとなく外を歩くようになってしまった。
大体、泣くならこんなちゃんとした道ではなく、もっと奥の誰もこないような場所に行くだろう。
多分、そういうヤツだ。
誰にも、泣いている姿なんか見られたくない。
多分、そういうヤツだ。
だから、探しているわけではないのだ。
言うなれば、自己満足。
きっと、これが涙の代わりだというのならば‥‥
せめて同じ雨に、一人でしか泣けない彼女の涙に。
‥‥‥触れて、みたかったのかもしれない。
傘をたたむ。
降る雨が、頬に触れた。
雨が嫌いだと告げた。
誰かが泣いている気がするから、雨は嫌いなんだと。
『誰かが泣いているか……フォル、ごめんね
いや、特に深い意味は無いんだけど、なんとなく?』
馬鹿。
おまえが、ごめんなんて言うから。
ごめん、なんてあの時言うから。
あの日から、その涙に触れるように雨夜を歩くようになってしまった。
今はもう、きっと彼女はこんな風に一人で泣かないのだろうけれど。
頬を、雨が濡らす。
それは、涙のようで‥‥
けれども、結局雨でしかなかった。
「うそつき」
空を仰いで、眼を閉じる。
「泣けなくても、泣いている気分になれるって言ったじゃん」
けれども、胸にこみ上げるのは苦い想いばかり。
「ちっとも、泣けやしねぇよ」
雨が、俺を濡らしていく。
それでも、泣いている気分にはならなかった。
ただ、遠く遠く‥‥
聞こえない泣き声を探すように、耳を澄ます。
もう、雨の中一人で泣いていないって‥‥そう、思うけど。
雨音の中の、声を探す。
「馬鹿みてぇ」
随分と、面倒な女を‥‥
そこまで考えて、ふと我に返った。
面倒な女を、なんだ?
まぁ、いい。
‥‥‥きっと、この雨夜の散歩も今日で終わり。
もう、終わりにしなければいけないのだ。
もう、雨の中。
彼女の泣き声を、探すのはやめようとすでに無意味になってしまった傘を開いて、俺は今日も一人来た道を戻った。
いつもの、雨夜と同じように‥‥‥
兼ねてから言っていたように、別ブログと統合させていただきました。
こちらは、一応小話オンリーとなっております。
PL的ぼやきその他は、
日々戯言也となっておりますので、どうぞよろしくお願いします。
‥‥‥狐と鳥の手合わせ、間幕。
大事なのは、君がなにを選んだか。
ぐしゃぐしゃと、動けない俺の頭を撫でる掌が鬱陶しくて、くすぐったくて、情
けなかった。
感じるのは、髪を梳く不器用な指先。
何処か恐る恐るといったような、それ。
そういえば、コイツがこうして俺に触れるのは珍しい。
「ラフィティナぁ」
「ウン?」
名前を呼ぶ。
今日、初めて呼んだな。
呼ぶ暇なんて、なかったからしゃーないけど。
「俺‥‥落ち込んでんのか?」
「‥‥‥どちらかと言うと、途方に暮れてる、カナ?」
「なんで」
「俺にわかるワケないデショ。エスパーじゃないんダカラ」
「‥‥‥だって、わかんないんだもん」
わざと子供のように呟いて、痛む身体を横向きにする。
顔、見られたくない。
なのに、ラフィティナはわざわざ俺の顔を覗きこんでくる。
「ナニがわかんないノ?」
「わかんねぇ」
もう一度、ぐしゃりと頭を撫でられた。
ちくしょう。
ガキじゃねぇぞ俺は。
いや、ガキなのかな‥‥
だって、こんなにも色んなコトがわかんない。
「ラフ」
「ウン」
「‥‥‥母さんのコト、まだ好き?」
「‥‥‥‥‥はぁっ?」
素頓狂な声を上げ、狐は明らかに狼狽した様子を見せる。
「おまえのそういう顔、初めてみたかも」
答えは、それで充分だった。
「‥‥‥うるさいヨ」
今度は、力をこめて髪を乱された。
乱暴なそれにつんっと髪をひっぱられて、その痛みに安心する。
優しくされんのは、嫌だ。
「ラフ」
「ナンダイ。さっきカラ」
どう尋ねていいのかわかんなくて、結局はそのまま疑問を口にする。
ホント、俺ってわかんないことばっかり。
情けない。
「俺さぁ、俺‥‥母さんに、似てる?」
ラフィティナは、なにも言わない。
だから、仕方なく俺はもう少し言葉を続ける。
「‥‥‥心の底から、素直にそう思ってんのに」
違う。
「そう、思ってるハズなのに‥‥」
なんにも見たくなくて、両腕で顔を覆う。
「なんでだろ。‥‥辛い」
「何があったんダイ」
「大事なヤツが、ずっと大好きで追っかけてたヤツを手に入れた。それだけだ」
「フゥン?」
「俺は‥‥それが、羨ましいのかな?」
自分には、できなかったこと。
最後まで諦めることなく‥‥
手を、伸ばせなかったもの。
「‥‥‥おめでとうって、思ってる反面」
呪いのように、囁く言葉。
俺の中の、黒くて醜くて汚い感情。
「壊れっちまえって、思った」
泣きたい。
大声を張り上げて、泣き喚いたら。
少しは、少しはこの胸に巣食うどろどろとしたモノを吐き出せんのかな。
「嘘じゃないんだ」
俺の笑顔は嘘じゃない。
言葉も、祈りも。
嘘じゃない。
幸せになって欲しいと思う。
幸せを祈ってる。
嬉しそうにしてたら、俺もやっぱり嬉しいから。
笑顔でいて欲しいって、ずっと想ってる。
なのになんで、何処かがこんなに痛いだろう。
満たされた心。
だけど何処かが痛くて、苦しくて。
泣き出したくなる。
涙なんて‥‥でてこないけど。
泣きかたすら、忘れてしまったから。
「嘘じゃ、ないのに‥‥嘘に思えて仕方ない」
少しでも、祝福できない陰りを抱えてしまえば。
すべてが、嘘になってしまうような気がする。
「君‥‥さぁ」
べしりと、頭を叩かれた。
「馬鹿ダヨネ」
「知ってる」
「相反する感情は、普通のことだと思うヨ?」
「‥‥‥でも、俺はっ!」
張り上げた声。
「いいから」
最後まで聞けと、再び頭を叩かれた。
「想うことは、仕方がナイヨ。大事なのはネ。君が、なにを選ぶか‥‥じゃナイ?」
「俺が?」
「言葉も、感情も、君の中で無数に溢れてるヨネ?その中で、君はナニを選んだノ?」
「‥‥‥俺は」
「羨ましいんだか、憎いんだか、わかんないケドネ。君は、その人を祝福したんダロ」
「だけど!」
「それが、結果ダヨ。どんな風に想ってようが。君は、その人の選んだものを祝福シタ」
「それは、表面上かもしれないだろ!」
「‥‥そうなの?君は、口先だけで、『おめでとう』って言ったンダ?」
「違う!俺が、そう想ったから!」
「ホラ。もう、答えは出てるダロ」
馬鹿ダネって、もう一回叩かれた。
叩きすぎだ、この野郎。
「もう、俺はいくヨ〜?いつまでも、お子ちゃまの戯言に付き合ってるほど、暇じゃないんダヨ。大人はネ」
そう言って、ラフィティナは立ち上がる。
「もっかいサ。ちゃんと、考えてみなヨ」
「なにを」
「君が、ナニをどう想ってるかをネ」
じゃあねと、金茶の狐は眼を細めて手を振った。
「ラフィティナ!」
俺は、声を張り上げてその背中に呼びかける。
「ナニ?あぁ、お礼ならいらないヨ?」
違うわ、ボケ。
誰がテメェに、礼なんか言うか!
「書類忘れてる。あと、治してけこのアホキツネ!」
あ、忘れてたネェとのんびりと治癒術を展開させるラフィティナに、俺は悔しいけれども小さな声で礼を呟いた。
久々に肉らしい、肉を食べました。
カルビ好きー!
そして、焼肉屋でサービスにレバーをいただきました。
‥‥‥半泣きで食べました。
うぐっ。
マジで苦手です;
どうでもいいですが。
鳥さんの好き嫌いは、私の好き嫌いと結構同じです。
いや、あそこまで偏食じゃないけど!
あそこまで、甘党じゃないけど。
はぁ、それにしても昼間寝ないと眠い‥‥
あー、でも書きたいモノが色々あるんだ。
ちゃんと、けりをつけなきゃいけない問題だしね。
しかし、一人で色々考えてる鳥さんはちょっとは大人になったんだろうなー‥‥
昔は、もっとモノやヒトにヤツアタリしてた気がする。
ぐるぐる考えて、どうしていいかわかんなくなって。
で、テーブルの下に篭ってうだうだしてたりとか。
まぁ、誰かに相談したくても誰に言えばいいかわからなし。
そもそも、なにを言えばいいのかもわからない状態ですからね。
どうやって、もうちょっと深く向き合わせよう。
切欠が難しい‥‥
あ、ブログは真面目に統合する方向で考えさせていただこうかと思います。
6月にあわせて動かそうかな。
ご意見、ありがとうございました。
さて、以下お返事ですの。
>紅梨様
ウチの子どじっこですかね?
どじっこって言うよりも、あほっこってカンジがしますが(笑)
春、こないのらしいですか?
でも、確かに背後的にもヤツに春がきてこうピンクオーラでてるぜーとか、想像つかない‥‥!
やっぱり、お子様だからでしょうねー(笑)
あと、多分それであってると思います。
日記は、うん。
なんか微妙なモノばかり上げてますが、もうしばらくお付き合いください。
普段はそうでもないんですけど、たまーに。
色々言いたくなっちゃうんですよね‥‥
ので、前向きに検討しております。
>しや様
ええ、そうです。
その方ですよ、ラブレター!
その節は、お世話になりました。
頑張ってお返事書きましたよ、あんな熱烈なのには劣りますが!
他の、動かせないですよね。
私、月一ブログになりつつあります本家は‥‥;
でも、あっちは色々今までに書いたモノが溜まってるので消すに消せなくて。
いっそ、もうちゃんと統合しようかなぁとか思い始めたんですよ、最近。
ウチのBLはあんたそれBLじゃなくてもよくね?とよく突っ込まれるようなBLなので‥‥(笑)
期待されるようなデキになるかどうか(笑)
でも、ネタはあるんだ色々!
シャンメリーは、ええ実はそんなエピソードが(笑)
丁度いいからネタにしようと思いました!
ネットは、もうすぐさま料金払って復旧させましたよー。
別に、なにするわけでもないんですけど繋がってないと落ち着かない;
携帯でも充分っちゃ、充分なんですけどねぇ。
打つのが面倒で;
やっぱり、ネットっていいなぁと実感しました(笑)
>鬼面の人
むしろ、こっちがお名前拝見して噴きましたよ!(笑)
例えるならば、ミッキーが突然家にきたみたいな驚きでしたよ!!!
いや、だって見られてるとは(ごにょごにょ)
そしてそうか、そこに突っ込むのか!
さすが、眼の付け所が違いますね!(笑)
ジャンプっこですかー。
私はむしろ、最近ジャンプ離れしてしまった‥‥
大人になるっていやね!心は少年でいたいのに!
最近、立ち読みもしなくなっちゃって;
えーっと、うっかり萌えたのはアイシールドなんですけど。
うん、ただ一コマでてきた赤羽さんにものごっつ反応しました。
だ、だって最近ネカフェで読み返したばっかりだったから!
石丸のいいひと度合いも笑ったけど!でも、赤羽に持ってかれたんだ!
あの人、なんであんなに変態くさいの‥‥(そこ?)
と、コンビニで騒いで友人に白い目で見られたよ‥‥(遠い目)
そうですよー。
一応、BLもいける子ですよー?
でも、あんまりべたべたした関係は好きじゃない子です。
BLだとね!
か、可愛い彼女かぁ。
想像つかないなぁと、中も外もちょっと遠い目しちゃいます!
ええ、今失恋フラグたってるんだ(笑)
わー!ありがとうございます!
こちらこそ、自重している中コメントありがとうございます!
ええっと、かまってやってくださると大喜びです!
もう、なんであんなに弄られっこになっちゃったんだか‥‥
どうぞ、時間ある時にアレで遊んでやってください!